【自転車事故】死亡原因・死亡率・その後の賠償は?

  • 自転車事故,死亡

【自転車事故】死亡原因・死亡率・その後の賠償は?

自転車事故死亡率死亡件数統計上どれくらいなの?」

「自転車事故が死亡事故にまで発展してしまう原因はどんなところにあるの?」

「自転車事故で死亡してしまった場合の賠償金の相場はいくら?」

自転車は老若男女問わず利用する便利な乗り物ですが、自転車事故が起これば、死亡事故の被害者にも加害者にもなりうる危険な乗り物でもあります。

そこで、このページでは、

  • 自転車事故の死亡率
  • 自転車事故が死亡事故に発展する原因
  • 自転車事故で死亡した場合の賠償金の相場

についてご紹介していきたいと思います!

専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。

弁護士の岡野です。よろしくお願いします。

自転車事故や死亡事故自体は統計上減少傾向にはありますが、自転車事故による死亡事故の当事者になってしまう可能性は誰にでもあるといえます。

自転車事故が死亡事故にまで発展してしまうのには原因があり、その原因を知っておけば、事前の対策も可能になります。

また、自転車事故により死亡した場合の賠償金について知っておくことは、受け取りの場面においても、支払うことになる場面においても重要です。

こちらで、自転車事故による死亡についてしっかり理解して、事前の対策や万が一の場合にも慌てないようにできるようにしておきましょう。

自転車事故により死亡してしまったというニュースは日常的によく耳にするかと思います。

最近でも、高校生が自転車事故により死亡してしまったというニュースがありました。

前橋市で9日、自転車で通学中の女子高校生2人が乗用車にはねられた事故で、群馬県警は31日、意識不明の重体となっていた市立高1年(略)が死亡したと発表した。

死因は低酸素脳症だった。

事故では、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)容疑で乗用車を運転していた男(85)が逮捕され、前橋地検が鑑定留置して刑事責任能力を調べている。

男は逮捕当時、「気が付いたら事故を起こしていた」と話していた。

(以下略)

自転車は便利な乗り物ですが、船橋の自転車事故のように、車道に転倒してしまい、不運なことに車にはねられ死亡してしまう可能性もあります。

船橋市旭町4の市道で23日午後7時ごろ、自転車で歩道を走っていた近くに住む(略)さん(66)が車道に転倒し、対向してきた自称左官業の男性(48)の小型トラックにはねられた。

(略)さんは胸や腹などを強く打ち搬送先の病院で死亡が確認された。船橋署は男性から任意で事故状況を聞いている。

同署によると、現場は片側1車線で、車道と歩道が分かれていた。

一方で、自転車事故は、自転車が加害者になり、相手方を死亡させてしまうものもあります。

千葉県千葉市の職員が自転車事故により、ジョギングしていた男性をはねて死亡させてしまったというニュースもありました。

千葉市は13日、自転車で歩行者をはね死亡させた市情報システム課の男性主事(25)を減給10分の1(6カ月)の懲戒処分にしたと発表した。

(略)

市人事課によると、主事は佐倉市吉見の歩道で昨年9月、通勤のためスポーツタイプの自転車で走行中にジョギングをしていた男性=当時(65)=をはねて頭にけがを負わせ、重過失傷害容疑で現行犯逮捕された。

男性は4日後に死亡した。

主事は先月22日、過失致死罪で略式起訴され同日、千葉簡裁から罰金50万円の略式命令を受け、即日納付した。

主事は市の聞き取りに対して「取り返しのつかないことをしてしまい被害者の方、ご遺族の方には大変申し訳なく、深く反省している」などと話しているという。

このように、自転車事故により死亡者が出てしまうという事態は決して他人事とはいえません。

では、実際の自転車事故の死亡率とは統計上どれくらいのものなのでしょうか?

自転車事故の死亡率は統計上どれくらい?

自転車事故の死亡率は統計上どれくらい?

自転車事故の死亡件数は何件?

まず、自転車事故による死亡件数については、統計上、以下のようになっています。

自転車事故による死亡件数
平成20 727
平成21 712
平成22 668
平成23 639
平成24 567
平成25 601
平成26 540
平成27 572
平成28 509
平成29 479
平成30 453

平成30年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について(警察庁交通局)参照

表を見ておわかりのとおり、自転車事故による死亡事故は、減少傾向にあり、平成30年は過去10年間で最少の453件となっています。

とはいえ、統計上、1日に1件以上自転車事故による死亡事故が発生していることになるのですから、決して少ないとはいえないかと思います。

交通死亡事故全体の中の自転車事故の割合は?

自転車事故による死亡事故は減少傾向にありますが、交通事故により死亡する人数自体も、統計上、減少傾向にあります。

交通事故により死亡した人数
平成20 5,209
平成21 4,979
平成22 4,948
平成23 4,691
平成24 4,438
平成25 4,388
平成26 4,113
平成27 4,117
平成28 3,904
平成29 3,694
平成30 3,532

平成30年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について(警察庁交通局)参照

では、交通死亡事故全体の中に占める自転車事故の割合は統計上どれくらいになるのでしょうか?

交通死亡事故に占める自転車事故の割合
平成20 14.0%
平成21 14.3%
平成22 13.5%
平成23 13.6%
平成24 12.8%
平成25 13.7%
平成26 13.1%
平成27 13.9%
平成28 13.0%
平成29 13.0%
平成30 12.8%

平成30年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について(警察庁交通局)参照

上記表からおわかりのとおり、交通死亡事故全体の中に占める自転車事故の割合は、統計上、ここ10年12~15%でほぼ横ばいになっています。

交通死亡事故というと、車が関わるイメージが強いかもしれませんが、自転車事故による死亡事故も常に一定程度発生していることがわかります。

自転車事故全体の中での死亡率はどれくらい?

では、自転車事故が発生した場合に死亡してしまう、自転車事故の死亡率統計上どれくらいになるのでしょうか?

ここ10年の自転車事故全体の件数及び死亡率(全体に占める死亡事故の割合)は以下の表のとおりです。

自転車事故の件数及び死亡率
件数 死亡率
平成20 163,095 4.46%
平成21 156,382 4.55%
平成22 151,676 4.40%
平成23 143,779 4.44%
平成24 131,765 4.30%
平成25 120,529 4.99%
平成26 108,538 4.98%
平成27 97,805 5.85%
平成28 90,055 5.65%
平成29 89,368 5.36%
平成30 84,383 5.37%

平成30年中の交通事故の発生状況(警察庁交通局)参照

上記表からおわかりのとおり、自転車事故の死亡率は、統計上、ここ数年わずかではあるものの、増加傾向にあることがわかります。

死亡率が5%以上ということは、自転車事故のうち20件に1件以上は死亡してしまう方が出ていることになります。

自転車事故自体は比較的身近なものであることからすれば、自転車事故による死亡事故の当事者になるという事態がいつ起こるとも限りません。

ご覧いただいたとおり、自転車事故による死亡事故の件数自体は減少傾向にあります。

もっとも、自転車事故が発生した場合の死亡率はわずかながら増加傾向にあります。

自転車事故を起こさないことが一番ですが、仮に自転車事故を起こしてしまった場合に死亡事故にまで発展しないようにする事前の対策が重要です。

自転車事故が死亡事故に発展する原因は?

自転車事故が死亡事故に発展する原因は?

自転車事故による死亡率がわずかながら増加傾向にあるところ、死亡事故にまで発展しないようにするには、事前の対策が必要です。

もっとも、事前の対策を練るには、自転車事故が死亡事故に発展してしまう原因を知る必要があります。

そこで、ここからは、自転車事故が死亡事故にまで発展してしまう原因について、お伝えしていきたいと思います。

自転車事故で死亡被害者になる場合の原因は?

まず、自転車事故死亡事故の相手当事者は、統計上、以下のようになっています。

平成29年自転車事故の相手当事者別死亡事故件数
相手当事者 件数 構成率
自動車 352 77.5%
二輪車 6 1.3%
歩行者 2 0.4%
自転車相互 3 0.7%
自転車単独 87 19.2%
その他 4 0.9
全体 454 100%

平成29年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について(警察庁交通局)参照

当然かもしれませんが、自転車事故の死亡の一番の原因は自動車との衝突によるものになっています。

もっとも、自動車事故による死亡の原因として、自転車単独事故が2割近くもあることは意外に感じられる方もいるかもしれません。

そして、自転車事故により、死亡してしまう方は、以下のとおり、65歳以上で約2/3、60代以上なら7割以上を占めることが統計上わかります。

自転車事故の年齢層別死亡人数及び比率
年齢層 死亡件数 比率
19歳以下 32 7.06%
20 22 4.86%
30 9 1.99%
40 19 4.19%
50 49 10.82%
60~64 28 6.18%
65歳以上 294 64.90
全体 453 100%

平成30年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について(警察庁交通局)参照

また、当然かもしれませんが、自転車の運転者に信号無視や安全運転義務違反などの法令違反がある方が、死亡事故が多くなっています。

なお、65歳以上の高齢者の方が、自転車の運転者に法令違反があった死亡事故の割合が高くなっています。

自転車事故で死亡した方の年齢層別法令違反の有無
65歳以上 65歳未満
法令違反あり 229件(78.16%) 107件(67.53%)
法令違反なし 64件(21.84%) 47件(32.47%)

平成30年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について(警察庁交通局)参照

さらに、自転車事故により死亡された方と、負傷にとどまった方の損傷主部位を比べると、死亡された方は頭部を損傷している場合が多いです。

自転車事故による損傷主部位
部位 死亡 負傷
頭部 267件(58.9%) 9,097件(10.8%)
顔部 6件(1.3%) 3,807件(4.5%)
頸部 33件(7.3%) 9,290件(11.1%)
胸部 55件(12.1%) 4,049件(4.8%)
腹部 12件(2.6%) 867件(1.0%)
背部 3件(0.7%) 669件(0.8%)
腰部 23件(5.1%) 7,886件(9.4%)
腕部 2件(0.4%) 17,602件(1.0%)
脚部 4件(0.9%) 30,659件(36.5%)
その他 48件(10.6%) 4件(0.0%)
全体 453件(100%) 89,930件(100%)

平成30年中の交通事故の発生状況(警察庁交通局)参照

以上をまとめると、自転車事故の死亡原因は主に、自転車運転中に頭部を損傷してしまうことにあると考えられます。

そして、その損傷の原因は、自動車との衝突によるものが一番多いものの、自転車単独のものも比較的多いといえます。

さらに、自転車の運転手に法令違反がある場合には、死亡事故にまで発展してしまう可能性が高まると考えられます。

自転車事故で死亡被害者になるのを防ぐには?

では、上記の自転車事故死亡事故に発展する原因を踏まえた上で、死亡被害者になるのを防ぐにはどうすればいいのでしょうか?

まずは、当たり前のことですが、自転車を運転する際に、法令違反をしないということです。

自動車やバイクと異なり、自転車は運転の際に免許も必要とせず、誰もが気軽に乗れてしまう乗り物です。

そのため、道路交通法が適用される車両であることの認識・意識を持ちにくい面もありますが、その点についての認識・意識が重要といえます。

例えば、自動車が信号無視や右側走行をしているのは、それほど見かけることは少ないかと思います。

それが、自転車となると、信号無視や右側走行をしているのも比較的見かけることも多いのではないでしょうか?

しかし、自動車であっても自転車であっても、信号無視や右側走行が道路交通法違反になる点に違いはありません。

自転車を運転する際でも、道路交通法などの法令を守った運転を意識することが、死亡被害者になるのを防ぐ第一歩といえます。

特に、高齢者の方は、自分で意識していなくても、老化による運転不注意が生じやすくなっている可能性があります。

高齢者の方が自転車を運転する際には、より一層、道路交通法などの法令を守った運転の意識を持つことが、死亡事故を防ぐのに重要といえます。

さらに、自転車事故が死亡事故に発展するのを防ぐには、頭部への致命的な損傷を負わないようにするのが重要です。

そのため、自転車事故で死亡被害者になるのを防ぐためには、ヘルメット着用が効果的といえます。

実際に、自転車事故の死亡率は、ヘルメット着用時よりも非着用時の方が約3.3倍も高いことが統計上明らかになっています。

自転車事故の死傷者数及び死亡率
ヘルメット着用 ヘルメット非着用
死亡者数 14 462
死傷者数 7,988 80,518
死亡率※ 1.75% 5.74%

平成29年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について(警察庁交通局)参照

※死傷者数のうち死亡者数の占める割合

自転車事故で死亡加害者になる場合の原因は?

冒頭でもお伝えしたとおり、自転車事故では、自転車運転者が歩行者などを死亡させてしまう加害者になる可能性もあります。

最近では、スマホを操作しながら自転車を運転していた女子大生が、歩行者と衝突、転倒させ、死亡させたニュースが大きく取り上げられました。

スマートフォンを手に持ちながら電動アシスト自転車を運転し、歩行者に衝突して死亡させたとして、神奈川県警麻生署は15日、川崎市麻生区の女子大学生(20)を重過失致死容疑で横浜地検川崎支部に書類送検した。

(略)

大学生は当時、左手にスマホ、右手に飲み物を持ちながらハンドルを支え、左耳にイヤホンをしていた。

直前まで操作していたスマホをポケットにしまおうと、下を向いた際に衝突した。

(略)

同署は、前方不注意と両手に物を持ってブレーキをかけられない状態だったことが事故の原因とみている。

上記のように、自転車事故により死亡者が出てしまう場合は、何らかの法令違反が原因の一つとなっていることが多いと考えられます。

また、自転車事故の死亡被害者とは反対に、死亡加害者になるのは、24歳以下の若い運転者が多いようです。

死亡した場合だけでなく、重傷も含んだ統計ですが、以下のような統計があります。

歩行者が死亡又は重傷を負った自転車事故の年齢層
年齢層 件数 比率
9歳以下 6 2.01%
10~19 112 37.46%
20~24 37 12.37%
25~64 113 37.79%
65歳以上 31 10.37
全体 299 100%

平成29年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について(警察庁交通局)参照

表からは、歩行者が死亡又は重傷を負った自転車事故の過半数が24歳以下の若い運転者であることがわかります。

また、自転車事故では、運転していた自転車の種類も死亡事故に発展するかどうかに影響を与える可能性があります。

当然かもしれませんが、自転車がスピードの出やすいスポーツタイプや電動アシスト式である方が死亡事故に発展しやすいといえます。

実際、ここまでご紹介してきた自転車側が加害者となった自転車事故は、スポーツタイプや電動アシスト式自転車を運転していたケースでした。

自転車といえども、バイクと同じくらいのスピードが出るものもありますので、運転の際にはバイクと同等以上に注意を払う必要があります。

当然のことですが、まずは、自転車も車両であるという意識をもって、法令違反のない運転を心掛けるのが何より重要といえます。

また、ご自身に非がなくても自転車事故に巻き込まれる可能性もありますが、ヘルメット着用により死亡のリスクを減らすことが可能です。

一方で、ご自身が自転車事故の死亡加害者になってしまう万が一の事態に備え、損害賠償責任保険への加入を検討しておくのが望ましいといえます。

自転車事故で死亡した場合の賠償金の相場

自転車事故で死亡した場合の賠償金の相場

自転車事故死亡事故に発展する原因やその対策についてはお分かりいただけたかと思います。

とはいえ、どんなに対策をしていたとしても、自転車事故による死亡事故の当事者となる可能性は0ではありません。

では、自転車事故による死亡事故が発生した場合に問題となる賠償金の相場はいくら位なのでしょうか?

死亡事故による賠償金の主な内訳としては

  • 葬儀費用
  • 死亡による逸失利益
  • 死亡慰謝料

の三項目になります。

ただし、死亡事故といっても、当然治療が施され、一定期間入通院をしたのちにお亡くなりになるケースもあります。

そういった場合の治療費や入通院慰謝料などについても、相当な範囲で損害賠償金・示談金に含まれることになる点は注意しましょう。

そして、死亡事故の賠償金の相場は、請求先や請求方法によって違いがあります。

そこで、ここからは、各請求先や請求方法ごとの死亡事故の賠償金の相場をお伝えしていきたいと思います。

自賠責保険の死亡による賠償金の基準・限度額

自転車事故においても、死亡加害者が車やバイクの運転手であった場合には、まず自賠責保険賠償金を請求することが考えられます。

そして、自賠責保険では、各賠償金の項目について、以下のように基準が定められています。

葬儀費用の基準

まず、葬儀費用の項目に関し、自賠責基準では以下のように基準が定められています。

1.葬儀費

(1)葬儀費は、60万円とする。

(2)立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は、100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費とする。

逸失利益の基準

そして、死亡による逸失利益の項目に関し、自賠責基準では以下のように算出すると定められています。

複雑に定められていますが、大まかに言うと、死亡による逸失利益の計算式は以下のとおりになります。

死亡逸失利益の計算式

(年間収入額-本人の生活費)×就労可能年数のライプニッツ係数

年間収入額

年間収入額は原則として、

  • 実際の事故前年の収入
  • 全年齢平均給与額(男子415,400円、女子275,100円)×12
  • 年齢別平均給与額×12

のうち最も高い金額ということになります。

なお、年金等の受給者は、

(年金等受給額-本人の生活費)×(死亡時の年齢の平均余命年数のライプニッツ係数-死亡時の年齢の就労可能年数のライプニッツ係数)

で計算された額も逸失利益として合算されます。

この場合の年金は、原則として被害者が保険料などを負担していた年金のことをいいます。

本人の生活費

また、本人の生活費については、生活費の立証が困難な場合、

  • 被扶養者(被害者に養われていた人)がいるとき:年収の35%
  • 被扶養者がいないとき:年収の50%

が生活費として控除されることになります。

死亡慰謝料の基準

また、死亡慰謝料の項目に関し、自賠責基準では死亡本人の慰謝料と遺族の慰謝料とにわけてそれぞれ以下のように基準が定められています。

死亡慰謝料の自賠責保険での賠償金の基準
被害者本人 遺族※
人数 金額 被扶養者がいる場合
350万円 1 550万円 200万円
2 650万円
3人以上 750万円

※ 被害者の両親、配偶者、子のみ

自賠責の限度額

ただし、自賠責保険では、上記の基準により算出された死亡による賠償金全額が受け取れるとは必ずしも限りません。

自賠責保険から死亡による損害に対し支払われる賠償金には3000万円という限度額があるからです。

責任保険の保険金額は、政令で定める。

法第13条第1項 の保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者一人につき、次のとおりとする。

一  死亡した者

イ 死亡による損害(ロに掲げる損害を除く。)につき

三千万円

(以下略)

自賠責の限度額を超える部分の死亡による賠償金は、加害者が加入する任意保険や加害者本人に請求していくことになります。

任意保険から払われる死亡による賠償金の相場

自転車事故死亡加害者が任意保険に加入していた場合には、その任意保険にも賠償金を請求することが考えられます。

そして、任意保険から死亡により支払われる賠償金については、一定の相場があります。

任意保険における死亡による賠償金の相場は、各項目ごとに以下のように定められています。

葬儀費用の相場

まず、葬儀費用について、任意保険では、原則として60万円としています。

ただし、立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は、社会通念上必要かつ妥当な実費とすることにしています。

原則の金額は自賠責保険と同じですが、社会通念上必要かつ妥当な金額であれば上限がない点が、自賠責保険との違いになります。

逸失利益の相場

そして、死亡による逸失利益の項目に関し、任意保険においても、逸失利益の計算式自体は自賠責保険と同じです。

ただし、年間収入額は原則として、実際の事故前年の収入になります。

そして、本人の生活費につき、任意保険では、生活費の立証が困難な場合、

  • 被扶養者がいない場合     50%
  • 被扶養者が1人の場合     40%
  • 被扶養者が2人の場合     35%
  • 被扶養者が3人以上の場合   30%

を生活費として控除されるのが相場になります。

自賠責の基準よりも被扶養者の人数に応じて、細かく生活費控除率を設定しているといえます。

なお、被害者が保険料などを負担していた年金分については、自賠責保険の場合と同様、基本的に逸失利益性が認められます。

死亡慰謝料の相場

また、死亡慰謝料の項目に関し、任意保険では、以下のような相場が定められています。

任意保険が払う死亡慰謝料の相場
被害者の立場 金額
一家の支柱 1500万〜2000
母親、配偶者 1200万〜1500
その他 1300万〜1600

被害者の立場に応じて慰謝料の金額の相場が変わる点が、自賠責の基準との違いになります。

なお、上記の金額は、死亡本人の慰謝料と遺族の慰謝料の合計の相場になります。

自転車事故の場合の任意保険加入

自転車事故では、特に自転車側が死亡加害者になる場合、車が死亡加害者の場合に比べ、任意保険に未加入である場合が多いという特徴があります。

警察庁の統計では、歩行者が死亡又は重傷を負った自転車事故のうち、自転車運転者の損害賠償責任保険の加入率は約60%にとどまるようです。

このように、自転車事故では、加害者が保険未加入の場合もありますが、その場合にどうすればいいかは、以下の記事をぜひご覧になってみて下さい。

裁判で認められている死亡による賠償金の相場

実は、自転車事故により死亡した場合に任意保険から支払われる賠償金の相場は、裁判で認められている賠償金の相場よりかなり低額です。

営利企業である任意保険は、できるだけ賠償金の支払いを低額に抑えたいと考えているからです。

では、裁判で認められている死亡による賠償金の相場はどれくらいのものなのでしょうか?

葬儀費用の相場

まず、葬儀費用について、任意保険では、原則として150万円としています。

ただし、実際に支出した額が150万円を下回る場合には、実際に支出した額とすることにしています。

では、反対に実際に支出した額が150万円を上回る場合にはどうなるのでしょうか?

裁判においては、150万円を超える葬儀費用も社会通念上、必要かつ妥当な金額であれば、賠償金として認められている事例も複数存在します。

葬儀費用が150万円以上掛かってしまっている方は、領収証などをしっかり保管した上で弁護士に相談してみることをおすすめします。

逸失利益の相場

そして、死亡による逸失利益の項目に関し、裁判においても、逸失利益の計算式自体は自賠責保険や任意保険と同じです。

年間収入額は原則として実際の事故前年の収入ですが、若年労働者や家事従事者、無職者については賃金センサスを用いることもあります。

また、本人の生活費については、生活費の立証が困難な場合、

  • 被扶養者が1人の場合       40%
  • 被扶養者が2人以上の場合     30%
  • 女性(主婦、独身、幼児などを含む)30%
  • 男性(独身、幼児などを含む)   50%

を生活費として控除するのが相場になります。

また、被害者が保険料などを負担していた年金分については、自賠責保険や任意保険同様、基本的に逸失利益性が認められます。

ただし、年金部分についての生活費控除率は、先ほどの割合よりも高くする例が多いようです。

ご覧いただいたとおり、逸失利益の計算式自体はどの場合でも基本的に同じです。

もっとも、収入の額や生活費控除率、就労可能年数を何年と考えるかで実際の逸失利益の金額がいくらになるかは大きく異なります。

そして、逸失利益は死亡事故の損害賠償金・示談金において大きな割合を占める項目になります。

そのため、示談交渉や裁判においても、収入の額や生活費控除率、就労可能年数を何年と考えるかが争いになることも多いです。

争いになった場合は、適切な主張・立証が不可欠であり、そのためには専門家である弁護士への依頼・相談を検討されることをおすすめします。

死亡慰謝料の相場

また、死亡慰謝料の項目に関し、裁判では、以下のような相場が定められています。

裁判で認められる死亡慰謝料の相場
被害者の立場 金額
一家の支柱 2800
母親、配偶者 2500
その他 2000万〜2500

被害者の立場に応じて慰謝料の金額の相場が変わる点、死亡本人の慰謝料と遺族の慰謝料の合計の相場である点は任意保険と同じです。

ただし、ご覧いただければわかるとおり、同じ被害者の立場でもその金額には任意保険の場合と大きな違いがあります。

このように、死亡による賠償金は、裁判で認められる金額が一番高額になることが多いといえます。

そして、死亡による賠償金につき、裁判で認められる具体的な金額の相場を簡単に調べられるのが、以下の慰謝料計算機です。

慰謝料計算機

かんたん1分!慰謝料計算機

開く

通院期間などを入れるだけでかんたんに慰謝料の相場がわかる人気サービス!あなたが保険会社から提示されている慰謝料は正しいですか?

慰謝料計算機

慰謝料計算機 通院期間などを入れるだけでかんたんに慰謝料の相場がわかる人気サービス!

慰謝料計算機はこちら

いくつかの項目を入力するだけで、死亡による逸失利益と死亡慰謝料を合計した賠償金の裁判での相場がわかりますので、ぜひご利用してみて下さい。

裁判をした方が高額な死亡による賠償金を受け取れる可能性が高いとはいっても、実際に裁判をするには時間も手間も掛かるのが難点といえます。

何か裁判をせず迅速に高額な死亡による賠償金を受け取れるいい方法はないのでしょうか?

死亡事故につき、弁護士に依頼すれば、裁判をせず、示談であっても裁判で認められる賠償金に近い金額を受け取れる可能性が高いと考えられます。

弁護士に依頼した場合、示談が成立しなければ、裁判を起こされ、結局高額な賠償金を支払う可能性が高いことを任意保険会社もわかっているからです。

ただし、自転車事故で、加害者が任意保険会社未加入の場合には、加害者本人に高額な賠償金を支払う資力があるかをよく検討する必要があります。

自転車事故による死亡事故で高額な賠償金を受け取るには、弁護士への依頼も検討したほうがいいということですね。

なお、死亡事故について、弁護士への相談・依頼を検討されている方は、以下の記事も参考になるかと思いますので、ぜひご覧になってみて下さい。

高額な賠償金が認められる裁判も

お伝えしてきたのは、あくまで相場であり、具体的事情に応じ、相場以上の高額な死亡による賠償金が認められた裁判も多数存在します。

特に最近では、自転車事故で、自転車側が死亡加害者の場合に、高額な賠償金の支払いを命じられたことがニュースとして度々話題になります。

自転車事故の死亡被害者・加害者どちらの立場においても、相場以上の高額な賠償金が裁判で認められる可能性がある点は覚えておくとよいでしょう。

自転車事故で死亡した場合の賠償金は、被害者の立場で問題になる可能性と加害者の立場で問題になる可能性とのどちらもが考えられます。

被害者の立場で問題になる場合は、適正な賠償金を受け取るために、請求先や請求方法をよく検討する必要があるといえます。

一方、加害者の立場で問題になる場合は、高額な賠償金の支払い義務を負う可能性があることを理解し、それに備えた保険の加入の検討が必要です。

自転車事故による死亡につき弁護士に相談したい方へ!

自転車事故による死亡につき弁護士に相談したい方へ!

ここまで自転車事故による死亡事故に関してお伝えをしてきましたが、読んだだけではわからないことがあった方もいるのではないでしょうか?

スマホで無料相談したい方へ!

人身事故にあわれた方は、お手元のスマホで弁護士に無料相談してみることができます

24時間365日、専属スタッフが待機するフリーダイヤル窓口で受付しているので、いつでも電話できるのは非常に便利ですね。

また、夜間土日も、電話やLINEで弁護士が無料相談に順次対応しています!

弁護士に無料相談はこちら

※無料相談の対象は人身事故のみです。
物損事故のご相談はお受けしておりません。

また、交通事故によるケガが重症で、弁護士事務所に訪問できない方を対象に、無料出張相談も行っているそうです。

まずは、電話してみることから始まります。

きっと、被害者の方が取るべき対応について、適切なアドバイスをしてくれるはずです。

地元の弁護士に直接相談をしたい方はコチラ

スマホを持っていない場合など、直接弁護士と会って相談されたいという方も当然いらっしゃると思います。

また、既に弁護士へのご依頼を決めていて、交通事故に強い地元の弁護士をお探しの方もいらっしゃるかもしれません。

そんなときには、以下の全国弁護士検索サービスがおすすめです。

サーチアイコン弁護士を探す5秒で完了
都道府県から弁護士を探す
北海道
東北
北陸
甲信越
関東
東海
関西
中国
四国
九州
沖縄

都道府県をお選びください

都道府県をお選びください

都道府県をお選びください

都道府県をお選びください

  1. ① 交通事故専門のサイトを設け交通事故解決に注力している
  2. ② 交通事故の無料相談のサービスを行っている

弁護士を特選して、47都道府県別にまとめています。

何人かの弁護士と無料相談したうえで、相性が良くて頼みやすい弁護士を選ぶ、というのもお勧めの利用法です。

最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、交通事故でお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

自転車事故の死亡率を考えれば、自分がその当事者になってしまうことがないとは言い切れません。

自転車事故は比較的起こりやすいものですが、死亡事故にまで発展しない対策や、死亡加害者となってしまった場合の保険の加入の検討が重要です。

また、自転車事故の死亡被害者のご遺族になってしまった方は、適正な賠償金を受け取るためにも、まずは弁護士に相談してみて下さい。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

  • 自転車事故の死亡率
  • 自転車事故が死亡事故に発展する原因
  • 自転車事故で死亡した場合の賠償金の相場

について理解を深めていただけたのではないかと思います。

これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。

自宅から弁護士と相談したい場合には、スマホで無料相談の機能を利用してみて下さい!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

自転車事故の関連記事

死亡事故のまとめ